レトロ13号最終章


最終章~



はじめに・・・


これまでレトロをご購読くださった皆様

誠にありがとうございます。


私は物語を書くのは初めてでした。

きっと不可解な部分もあったと思います。その点は以後勉強していきたいと思います。


最後になります。


では、私もこれから描きます。まだ見ぬ未来の行方を。。



感情が穏やかな方だけご購読お願い致します。












本編


その次の日


僕達は、突きつけられた現実をどう組み立てて行けば良いのか分からなかった。


先生から2つの提案をもらった。病院で安静にして少しの時間を長く生きるのか。それとも、確実に時間がいつ止まってもおかしくない状況下に置かれるか。。

2つに一つだった。



病院はいつもより静寂なのに、僕の頭の中はもの凄い爆音や無惨に死んでいく中東やアフリカの子供達を連想していた。どちらにしても『死』という文字が僕の後ろ髪をわしづかみにされてる感じだ。。

香澄は何を想い何を感じて何を描いているのだろう。


僕には何も出来ないのだろうか。

きっと無力という言葉だけが残るのだろうか。。



香澄はそんな僕の感情を逆撫でするように、答えをキッパリ出した。



先生。その2つの選択が私に出来るのなら、私は、ココには居たくない。帰りたいです。。


僕は・・・正直言って、、どちらとも決断できなかった。


香澄が決めたこと、香澄と僕は最初から遅かれ早かれこういう運命だった。


そう。



最初からわかっていたことなのだ。。




先生は、、分かりました。

そう呟くと。。


何かあったらすぐに病院に駆け込んできてください。

香澄は二つ返事で返した。はい・・・・。


先生が僕の名前を呼ぶ・・・英二さん。


はい・・・。


細い声で英二は答えた。



香澄さんのこと頼みましたよ。



すべての覚悟を決めて、私は返事を返した・・はい。



その後、細かく説明を始めた。

1時間ぐらい説明が続いて、先生は僕等の前から姿を消して別の患者さんのとこに行った。


香澄と二人で、香澄のベットルームに行き、荷物を早々とまとめて部屋を後にした。




お世話になった看護婦さんと先生にお礼をして、1Fに降りて精算所で料金を支払った後、タクシーに乗り込んだ。僕が先に乗って、タクシーの運転手さんの後ろに乗って、香澄はすぐに降りられるように助手席側の後ろの後部座席に乗りこんだ。

昨日からの雨がまだ降り続いていた。

タクシーの窓から見える景色はやっぱりモノクロに見えたな。。


どこか寂しい空気がこの密室には漂っていた。



香澄は、どこよりも遠い世界を見つめていた。


あの果てに香澄は何を想っているのだろうか。


この先僕に何が出来るのであろうか。


それもそれで不安だった。



見通しの悪い交差点、僕の物語の始まりの場所。。


この交差点に差し掛かって思いがけない事態が起こる。。。


奇跡の始まりが・・・・・・。










信号が青に変わり、僕達の乗せたタクシーが発進した。


眩しく光った大きな目玉がココに迫ってきた。


荷物を沢山積んでいたトラックが、雨のスリップで車を止める事が出来ずに、30センチぐらいまで近づいた瞬間、レトロは始まった。僕の頭を駆け巡るコマ送りの出来事が過去の出来事を思い出したのだと想う。


ついにココまで来てしまった。


僕が出来ること、それはつまり、愛は確実に手に入れられる真実。
誰かを愛するということは、恐ろしく怖いもの。
人を幸せにするということは、自分が幸せになるチャンスだと言う事。
貴女を愛したこと、僕の誇りだった。
貴女と過ごしたこの時間。もう過去の出来事になるけど、大切な宝物だったということ。

なぁ香澄。最後だから言わせてくれよな。



僕は、世界で一番お前のこと愛してるんだぜ。

そりゃ、顔は香澄みたいに綺麗じゃない。

波乱の人生でもなかったよ。

でもな、香澄と出会って僕は、世界一幸せな男になった自信はあったよ。

初めて贈ったプレゼント・・・大切にしてくれよな。。

月夜の晩に語った時間。。神秘的だったよな。。。

毎朝の香澄の朝ご飯。めっちゃ美味かった。ありがとう香澄。

香澄をこれから俺が看病してやるって先生に言っちまったけど。。

きっと・・・このフラッシュバックじゃ・・助かりそうもないな。。

悪いけど、香澄・・・











香澄・・・・・・・・










先に逝って待ってます。。。







香澄・・・・・あ・い・し・て・る。。

















TVモニターの電源を切るかのように・・・・。



画面は真っ暗になったと同時に、もの凄い音を立てて、僕達を乗せたタクシーを直撃した。。



交差点は騒然となる。。






・・・・・・・・・・・







救急車が到着した。


香澄は全身を強打して意識不明の重体となる。。




そして・・・・タクシーの運転手は、ダンプと衝突する瞬間アクセルを早めたお陰で右手足、頭を少し怪我したものの命には別状はないとのこと。。。




問題は・・・。



英二は顔は血だらけで顔面は見られた状況じゃなかったという。
すべての衝撃は、英二だけに集中した感じになった。
英二は、即死。。となった。。




悲しく響き渡る救急車の3台の内1台は、霊柩車と化して病院に搬送された。






ねぇ香澄・・・・




聞こえますか香澄・・・・・・



ようやく・・ようやく・・・・



僕にも香澄を助けることが出来たよ。


ようやくねww


香澄・・・香澄は最後の最後まで生きてくださいww


僕は貴女に出会えたこと、本当に・・本当にありがとうって言いたいの。


香澄は、今までにないフワリと地面から浮いたように体が軽くなっていた。


香澄はこれから大事な大事な時期が訪れる。


僕に出来ること、僕が貴女を助けられることはこれくらいしかない。



香澄の躰中にあったすべての黒いモノが抜けてく感じがした。


こんなものは僕が取り除いてあげる。



香澄は夢の中で、あまりにも心地良い状況が妙に懐かしく感じた。それと同時に、優しさに包まれた感覚にも堕ちていった。。




香澄は今までにない眠りにつく。







どこの世界なのか、カラフルな色の中で、ポツリと英ちゃんが笑っていた。。。。


英ちゃんに話しかけようとした瞬間。



目を覚ました。






事故から1週間が過ぎていた。



眠りから覚めた香澄の躰は、8日前の重い血がすべて抜き取られた、そんな爽快な気分だった。


黒田龍次・・・ベットから目を覚ますと見たくない男の姿が目の前に立っていた。


黒田が発した。。。。




オマエの連れが・・・事故で死んだ。


即死だったそうだ。




香澄は、静かに静かに・・・涙を溢した。。








黒田はそう告げて、病室を出て行った。


黒田は、後に香澄の前に現れることはなかった。






香澄はもう一度もう一度だけ英ちゃんに逢いたかった。逢ってちゃんとありがとうって言いたかった。


英二は香澄を護り、香澄を助け、香澄に最高のプレゼントを用意していた。








数日が経ち、香澄は以前より体調が良くなり、主治医である先生に最後の検査結果を聞くこととなる。



相談室。。


英二と二人でココで話を聞いた時と何一つ変わらない室内。

先生の顔色だけがスッキリしているように思えた。


先生が、私に質問する。香澄さん体調はどうですか。良く眠れますか。体は動かしてますか。・・・チェック項目の質問も終え、先生が明るい声で香澄に言った。香澄さん、本当に奇跡としか言いようがありません。すべてを検査しました。香澄さんはクリアな状態です。今後は、定期検診だけで大丈夫だと思われます。



それと。。。香澄さん。。。


もう一つ。。。


あの事故から本当に考えられないのですが。。。。



香澄さんのお腹の中に、命が芽生えました。

今は、カタチもままならないですけど、小さな鼓動をしています。


今後、香澄さんは一人です。


先生が話の続きをする間合いも与えず、香澄は、興奮した様子で先生に訊きかえしました。先生、、、、赤ちゃんが・・英ちゃんとの赤ちゃんが私のお腹の中にいるんですか。。


先生は優しい口調で香澄に言った。



二つの心臓が香澄さんの躰には鼓動してます。


香澄さん。。



おめでとうございますww



香澄は・・






優しい瞳でお腹をみつめて、お腹に手をあてて英ちゃん・・最高のプレゼントありがとう。。



喜びを噛み締めた。。



先生、命の重さ・・・。



いろいろな幕が上がったり下がったり。


これから先、何が起こるか分からない。この私の命もこのお腹の中にある命も、英ちゃんが護ってくれた宝物。




大切に大切にしていきます。




先生は笑顔でそうだねって言ってくれた。。











・・・・・・・・・・・・・






数日が経ち本日も雨が空から降っていた。

今日は、待ちに待った退院の日であった。


看護してくれた看護婦さんや先生が見守って病院を後にした。




メトロに向かう途中に見える観覧車。


夢のような時間だったけど、確実に存在していた英二。


私は、いつまでもいつまでも彼の事は忘れないと思う。



メトロに着いて、久しぶりに帰ってきたメトロは、最後に営業した英二の声が今にも聴こえてきそうなぐらい、何にも変わってなかった。



2人の時間がたくさん刻まれたモノ達が今もその時を刻んでいる。




これからまた、新しい命と一緒に育んでいくんだよってメトロの馴染みの椅子やらソファやら写真に香澄は言葉を沁みこませた。



2階へ上がると、脱いだままの英ちゃんの洋服がある。。






いつも使ってた歯ブラシも、語り合ったグラスも、大きめのお茶碗も、すべてご主人様の帰りを待つように、そこに居た。。


脱いだままの英ちゃんの洋服を握り締め、香澄は顔に押し当てて、英ちゃんの匂いを嗅いだ。やっぱり英ちゃんどっかに隠れてるんでしょーって、つい・・・言葉に出した・・・静寂の中、香澄は・・・また・・・泣き虫香澄になっていく。。
もうどこにも・・どこにも居ないの英ちゃん。。どこにもどこにも居ないんだよね英ちゃん。。。涙を英ちゃんが着てた洋服に滲みこましちゃうからね。。




たくさん泣いた。


たくさんの思い出もらった。


一つの命を授かった。。。




英ちゃんありがとうって何度も何度も言いながら、香澄は英二の洋服に顔をうずめたまま眠っていた。





・・・・・・・・・・・・・




いつものようにメトロは営業していた。



ほのかな灯りと、魔法のランプと、ここにしかない思い出と時を刻む。

いつもの常連客が今宵も酒を酌み交わしている。








オレンジ色の想い出をいっぱい詰め込んだ指輪が香澄の左薬指にはめられていた。
















レトロ最終章


























皆さんの命はどのように生を受けてこの世に誕生したのでしょうか。

いろんな、いろんな歴史を刻んで私達は命のバトンを受け取ったのです。

その命は貴方しかもっていないし、貴方しか存在しない唯一の存在です。

誕生日の日は、両親に感謝しましょう。

両親が生まれた日は、先祖に感謝しましょう。


私はそう想うようにしています。


仕事も大事です。友人も親も兄弟も親戚も街を歩いている知らない人もすべての人々は繋がっています。

この100年後に存在している人なんて、ほんの一握りの確率です。

明日死ぬかもしれません。今日は運命の日かもしれません。


手を繋いでいきましょう。


一人じゃ生きられません。






でっかい人間ってそんな人だと私は想います。





長々とご購読戴きありがとうございます。



これでレトロを閉幕させていただきます。









今後ともjokerを宜しくです♪



ではまたねww



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